SNOWLOGの日記

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「離婚慰謝料」は元不倫相手に請求できるかの民事訴訟。

 離婚時の精神的苦痛に対する慰謝料を、

別れた配偶者の過去の不倫相手に

請求できるかということが問題の裁判です。

 この問題が争点になった

注目の民事訴訟の判決が本日2月19日に

最高裁第3小法廷で言い渡されました。


 事実関係はといいますと、
 
原告は、元妻と2011年まで

不倫行為をしていた不倫相手に対して

訴訟を起こしていました。

 原告が元妻の不倫行為を知ったのは2015年です。

夫婦は同年に離婚しています。

この2015年という年がポイントのひとつです。


 配偶者の不倫相手に対しては、

離婚が成立したかどうかにかかわらず

不貞行為の慰謝料を請求できます。

 しかし、離婚に対する慰謝料を

請求できるかについては判例がなく、

初めての判断が示される可能性があります。

不倫行為への慰謝料は

一般的な請求は「不貞慰謝料」となっています。

 原告は男性で1審、2審判決によると、

 2015年に妻と離婚し、

その4年前まで妻と不倫関係にあった妻の元同僚を

相手取り「不倫が原因で離婚した」として

約500万円の「離婚慰謝料」の

支払いを求めて提訴しました。

 原告は離婚した妻には慰謝料を請求していません。

不貞行為についての判例はあります。

 1979年3月の判例は、

結婚している人と関係を持った

三者について「故意または過失がある限り、

相手を誘惑したかや自然な愛情によって

関係が生じたかにかかわらず、

性的関係を持つ行為は他方の配偶者の

権利を侵害する」と指摘して、

精神的苦痛に対する慰謝料を

支払う義務があると判示しています。

 この慰謝料は「不貞慰謝料」と言われ、

不倫をされた側が配偶者の不倫相手に

請求することが一般的です。


 今日の裁判の1審と2審は妻の元不倫相手に

200万円の賠償認めました。

今回の裁判で争点になっているのは

時間と時効と「離婚」です。

 不倫の時期と離婚の時期がずれているのです。

たいていずれるのですが、

 原告男性が元妻の不貞行為を知った時期は

不倫行為から3年以上たっていました。


 民法724条は、「不法行為」による損害賠償の請求権は

「損害を知ってから3年間行使しない時は消滅する」と

規定しています。

このため、訴えられた原告の元妻の元不倫相手は

不倫行為については「時効により請求権が消滅している」と

反論したようです。

 しかし、1審と2審は原告男性の訴えを認めて、

元不倫相手に200万円の支払いを命じました。

 1審での判決では、

「不貞行為の発覚をきっかけに婚姻関係は悪化し、

離婚に至った」と認定している。

 離婚慰謝料について、消滅時効

起算点である損害を知った時は

「離婚成立時」であるとする別の確立した

1971年7月の判例を引用して、

「不貞行為により離婚を余儀なくされて

精神的苦痛を被ったと主張する場合、

損害は離婚成立時に初めて分かる」と述べ、

慰謝料の支払いを命じた。

この判例では「離婚成立時」で損害が

生じていると判示しています。

となると今日の裁判では2015年が

「離婚成立時」となりますね。


 元不倫相手は上告しました。

判決ははっきりとは述べていないものの、

「不貞慰謝料」ではなく、

「離婚慰謝料」として元不倫相手に

支払いを命じたからです。

 あくまでも離婚は夫婦の問題で

自分は関係ないと主張しているのでしょう。

 提訴自体は、2015年の離婚から

3年以内の提訴だったため、

時効にはかからないということになります。

 この判断は2審の東京高裁も支持しました。

これに対して元不倫相手は反発しました。

「不倫があったとしても

結婚生活が破綻するかどうかは

夫婦によって異なり、

三者に離婚慰謝料を

請求することは相当ではない。」

として最高裁に上告しました。

 不倫関係は2011年で終わっている、

離婚の関しては夫婦の問題で

自分は関係ないという主張です。

 不倫行為に関しては当事者だけれども、

離婚については当事者ではないと、


 しかし、感情論からすれば夫婦の不仲と

破婚の原因をつくったのは誰なのか?

 足踏んだ方は忘れても、踏まれたほうは

覚えているものです。

いじめられた人はそのことを

ずっと覚えているのと同じですね。


 原告の男性は上告審で

2審判決の維持を求めていました。

離婚慰謝料に関わる指摘が注目 されていました。

 法律家としてはどうなのか?

同じ事で「不倫」「離婚」の二回の慰謝料請求裁判は面倒で

今のところ基準もない、二回は面倒だし、

どちらかにまとめたい、

なるべくやりたくないというのが裁判官の本音でしょう。

 もしも、不倫相手が複数いたら、

時効にかからないとすると

その相手すべてに請求できるとなると

複雑化するという恐れもあります。

 
 最高裁の判断は判例となって、

今後の裁判などに大きな影響を与えます。

注目の裁判の結果はどうなったか?

最高裁は「離婚慰謝料」は

元不倫相手には請求できないと判断しました。

不可ということです。

本事案は「離婚慰謝料」を

定義づける、法創造をするような判断が

あるかどうかも注目されていましたが

離婚の当事者ではないものに

請求はできないという判断でした。

 ただし、不倫行為をして不倫相手の家庭が壊れても

不倫相手の配偶者から慰謝料を請求されないという判断では

ないので、念のため。

 あくまで離婚については当事者ではないということです。


判例や裁判例元号を使いますが、西暦にしておきました。)


最後まで読んでいただいてありがとうございます。


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今日2月19日の判例
新版が出た時に掲載される可能性がありますね。